四畳半王国見聞録/森見登美彦
『四畳半王国見聞録』著森見登美彦、読みました。
著者のブログ「この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ」より(http://d.hatena.ne.jp/Tomio/20110122/p1)
この単行本は、登美彦氏が数年にわたって書いた四畳半的短編七篇を集めて、それらを大幅に加筆修正したものである。これらの短編が登美彦氏本人にもよく分からない複雑怪奇なかたちで相互に結びつくことで、聖なる阿呆神の統べたもう四畳半的宇宙が、強いて見せるほどでもないその全貌をあらわす。
四畳半は世界に遍在しているのである。
現実は妄想的ファンタジー世界に繋がり、妄想は現実世界に繋がっている。
男は四畳半にひとつの男汁溢れる不毛な王国を建国した。
水玉ブリーフの男が現れ、大日本凡人會は鴨川に雪を降らせ、謎の組織「四畳半統括委員会」が暗躍し、丹波氏がポロンとマンドリンを鳴らし、そして、阿呆神が腰を揺らして踊っている。
まさに複雑怪奇。面白かったです。
登場人物が多くて、短編ごとに微妙にリンクしていたりして、少し混乱するところもありましたけど、あまりある不毛で阿呆で男汁溢れる話で面白かったです。
「蝸牛の角」「真夏のブリーフ」「大日本凡人會」あたりは面白かったですね。大日本凡人會や詭弁論部や三浦さん、初音さんとかのキャラがいいですね。
『四畳半神話大系』や『新釈走れメロス』あたりのキャラが出ているので、その辺を読んでから読むのがいいんでしょう。
そして、「四畳半王国開国史」。見事ですね。なんだか強引な気もするけど、すごい伏線回収と大団円でした。とことん内部へ内部へと突き進んだ果てが、あんなに爽やかで男臭くて、ちょっと感動する展開なんて!
僕も数学的に恋人の存在を証明してみたいです。
やがて彼女は呟いた。
「見渡す限り阿呆ばっかり」
- 作者: 森見登美彦,古屋兎丸
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2011/01/28
- メディア: 単行本
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