猫の地球儀/秋山瑞人

猫の地球儀 焔の章」「猫の地球儀 その2 幽の章」著秋山瑞人、読みました。

トルクは宇宙に浮かぶ島で、円筒形で、地上6000キロ、軌道速度は秒速5600メートルで回っている。幽は三十七番目のスカイウォーカーで、まだ小さな黒猫だった。幽の目的は、ただひとつ。「地球儀」に生きてたどり着くこと。焔はスパイラルダイバーで、史上最強のドルゴンの斑に勝負を挑んで勝利した。焔は痩せた白猫だった。
2匹の猫の出会いと別れの話。


久しぶりのライトノベル
面白かったです。そして、泣ける。
世界観がおとぎ話とSFとラノベが混ざったような感じでいいですね。猫とロボットと宇宙とロケット…素敵です。というか、全然ライトなノベルじゃない。

誰もが不可能だといい、タブーとされていることに挑戦する幽。それはまわりから理解されないし、迷惑だと言われ、ましてこの世界では殺されてしまうことなのに、それでも「地球儀」を目指して、研究と実験を繰り返す。
夢を追う人(猫だけど)の情熱と苦悩と孤独。幽と焔、それに楽やクリスマス。
お互いがお互いを想う気持ち、信頼、友情……。

 仮に、それを教えられたとしても、自分が心からすごいと言ってやれるかどうかはわからない。誰かにとって大切な「何か」は、往々にして、他の誰かにとってはケツの穴の周りの毛よりもどうでもいいものだったりする。

『夢とは、かくも手前勝手なものだ』

僕にとって大切なこと。他の誰かにとって大切なこと。
大切なものを大切にしたいという気持ち。そのせいで誰かに迷惑がかかるかもしれない。それでも、大切なものを大切にするべきなのか。大切にするに値するものなのか。
もしくは、他の誰かの大切にしたいものによって、僕に迷惑が降りかかるかもしれない。応援している友達の大切にしたいものによって、僕が迷惑を被るかもしれない。それでも応援することができるのだろうか。友達を見送ることができるだろうか。

僕にとって、大切にしたい「何か」とは何だろうか。

 おれの夢は溢れていた。
 幽の夢も溢れていた。
 幽は、どうすればいいのかわからなかった。
 おれも、どうすればいいのかわからなかったんだ。


猫の地球儀 焔の章 (電撃文庫)

猫の地球儀 焔の章 (電撃文庫)

猫の地球儀〈その2〉幽の章 (電撃文庫)

猫の地球儀〈その2〉幽の章 (電撃文庫)