読書力/齋藤孝

齋藤孝の『読書力』読みました。

あらすじ

本を読むことの意味は何?案外答えにくい問いに、「読書によって…の力がつく」という形で考え、コミュニケーションの力、人間を理解する力との関わりを示します。自分をつくり、鍛え、広げることが、読書とどう結びついているかを述べて、あらためて読書の本質を見つめます。心に残るフレーズ、工夫の手がかりも満載です。


なかなかいい本だったと思います。少なくとも僕にとっては。
読書することの意味を考えさせられる。
今まで読んできた本、これから読む本のこと。もっといろんな本を読まないといけないなと感じました。

「単なる娯楽のための読書ではなく」、「多少とも精神の緊張を伴う読書」

「精神の緊張を伴う読書」がどのレベルくらいまでの本なのかよく分かりませんが、そういった本を読むことで、いろいろな価値観や物語や人生に触れ、思考力を鍛え、人間ができる。読書によって自己形成がされる。

たしかに、今の自分を形作るのに僕にとって読書は欠かせないものだ。中学生のときに読んだジュール・ヴェルヌの『十五少年漂流記』だとかサリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』だとか『星の王子様』だとか宮沢賢治だとか夏目漱石だとか、その他「精神の緊張を伴」わない本も含めて、僕の血となり肉となり、僕を形作っているように感じる。果たして、思考力と自己形成が上手く出来たかは謎であるが。


今まで僕は読書は単なる趣味で、読むことも読まないことも自由だと考えていた。
しかし、本書では完全否定される。

本は読んでも読まなくてもいいというものではない。読まなければいけないものだ。

あまりの熱い文章に感動さえ覚える。
本は読まないといけないんですね。本を読む人と読まない人の大きな違いっていうのは、今のところあまり実感しませんが、5年後、10年後、違いが生まれてくるものなんでしょうか。


わからないことを溜めておく。
この「溜める」技自体が、読書で培われるもっとも重要な力なのかもしれない。

わからないものを溜めておく。正直、「溜める」ことの重要さが僕には実感としてよく分からないけど、まあ、分からないにしても、この言葉は僕の琴線に触れ、僕の中に「溜め」こまれていくんだと思う。いつか、それが力となるかもしれない。



若干、読書礼賛すぎる感じはしますが、それでも読みやすい文章で面白かった。
『読書力』なんて面白味のないタイトルだけど、中身は素敵でよかった。

子どものころ、大人や教師が言っていた「読書することの大切さ」について、その内容を見事に詳しく書いてある。たぶんそんな本。


「文庫百冊・新書五十冊」

まずは、これを目指そうと思います。



最後に、学校の定期試験で読書を組み込んだときのラインナップが面白い。よく考えられているなあと感じる。

中3 友情         武者小路実篤
中3 さぶ         山本周五郎
中3 車輪の下       ヘッセ
高1 君たちはどう生きるか 吉野源三郎
高1 地獄変・偸盗     芥川龍之介
高1 もの食う人びと    辺見庸
高1 高円寺純情商店街   ねじめ正一
高1 ばくは勉強ができない 山田詠美
高1 パンドラの匣     太宰治
高2 出家と弟子      倉田百三
高2 麦の道        椎名誠
高2 沈黙         遠藤周作
高2 春の夢        宮本輝
高2 破戒         島崎藤村
高2 坊っちゃん      夏目漱石
高3 フラニーとゾーイー  サリンジャー
高3 金閣寺        三島由紀夫
高3 読書と社会科学    内田義彦
高3 ハムレット      シェイクスピア
高3 罪と罰        ドストエフスキー
高3 取材学        加藤秀俊
高3 ツァラトゥストラはこう言った  ニーチェ

読書力 (岩波新書)

読書力 (岩波新書)