魔法少女リリカルなのはMOVIE1st THE COMICS 2

魔法少女リリカルなのはMOVIE1st THE COMICS 2」原作都築真紀、作画長谷川光司、読みました。ネタバレ(?)注意。

あらすじ

なのはとフェイトの正確な能力確認のために模擬戦をすることとなった。それぞれの気持ちを胸に用意された戦闘空間で再び二人が対峙する。
お互いに一切手を抜かず、自分のすべてをさらけ出すバトル。それは、相手へかける言葉が見つからない不器用な二人が、本当の気持ちを伝え合うための戦いでもあった。

なのはフェイト最高や!!!

劇場版とは違うアナザーストーリー。
都築真紀のあとがきによると、「フェイトの強さ」「なのはの弱さ」を意識して描いていたそうです。

なのはがフェイトを助けるだけでなく、なのはもフェイトに助けられたんですね。

1巻冒頭で訳もなく胸を押さえて思いっきり泣くなのは。
「家族がいて、友達がいて、おうちとベッドとごはんの心配をしなくてよくて、学校だって楽しいのに。どうしてなのかな。寂しくなる理由なんて、どこにもないのに。悲しくなるような、苦しくなるような、行き場のない気持ちが、胸の奥から出ていかない。」

どんな小3だ!
どうしようもない悲しさ、苦しさで誰も見ていないところで思いっきり泣く。

2巻でなのはは回想する。お父さんが入院して、みんな忙しく、ひとりぼっちになりがちだった頃を。
「わたしは本当に小さくて、ひとりぼっちになってしまう時間が悲しくて、誰もそばにいてくれないのが寂しくて、自分は本当はいらない子なんじゃないかとか、そんなことばかり考えていた。」
「だけど、違った。夜中にひとりでとても辛そうにしていたお母さんが、わたしを見つけてくれて笑ってくれた。あったかな腕に抱かれて感じたのは、うれしさと切なさと、ただ守られて心配されて、なにもできないまま待ってるしかできない自分。わかったのは、悲しいのは、悲しいことを前にしても、悲しんでいるひとを前にしてもなんにもできない、あんまりにも小さくて無力な自分。だから、ひとりの時にたくさん泣いた。寂しいからじゃなくて、悔しくて。」

「怖いのは、苦しいのは、まだ小さなままの自分の手。なんにもできない無力な自分。」


一巻でモヤモヤしていた気持ちがフェイトとの全力のバトルでだんだんとはっきりとした形として前へと出ていく。
苦しかったのは一人で寂しかったからじゃない。まだ小さくて何もできない自分が悔しくて。

不器用な自分ができることは、まっすぐ進んでぶつかっていくことだけ。その「勇気の一歩」を踏み出す意味。

「わたしはフェイトちゃんを『救いたい』とか『助けたい』とかそんなのじゃなくて、『友達になりたい』って思ったのも、わたしはこの子の、フェイトちゃんの、笑顔が見たいだけなんだって」

泣きそうな顔のフェイトちゃんの笑顔を見たいから。だから、とにかく今は全力全開でスターライトブレイカーをぶっ放す!!
どこに向けていいのか分からなかった、やり場のなかった「何かやらなきゃ」という気持ちを、今は全力でまっすぐに魔法に乗せて、打ち放つ!


フェイトもまた、なのはとの戦闘で自分の本当の気持ちをだんだんと出していく。確かにあったリニスとアルフとの暖かな日々。リニスが教えてくれた魔法、残してくれた愛機バルディッシュ、リニスの想い。
「ああ、そうだ。わたしは母さんのアリシアにはなれなかったけど、わたしはわたしとして、生きていたんだ、わたしは。」


そうして、お互いにすべてを、痛みも悲しみも苦しみもすべて出し切って。


バトル後に、フェイトちゃんはなのはにすごくいい笑顔で気持ちを伝える。

「だけどこの世界に来て、君と会えて良かったって思う。この世界でなのはと出会えて良かった。ありがとう、なのは――」


コミカライズなのにこんなに感動できるなんてすごい。
リニス視点でのフェイト過去話もいいですし、なんといっても「なのはの弱さ」が見事に描かれているのがいいですね。
バトルの激しい勢いのなかで、ちゃんと二人の想いが徐々に表に出て、それが強さになり、さらにバトルが熱くなっていくのがいい。

本当にいい漫画でした!