はやぶさ 不死身の探査機と宇宙研の物語/吉田武

はやぶさ』著:吉田武読みまし。
あらすじ

世界88万人の夢を乗せて、我らが探査機「はやぶさ」は太陽系誕生の鍵を握る、小惑星イトカワへと旅立った。果たして表面の物質は採取できたのか。本当に地球に帰還できるのか。3億キロの彼方で繰り広げられた人類史上初の大冒険を伝える感動と興奮のサイエンス・ノンフィクション。独自のロケット、独自の探査計画で世界中の研究者を驚かせ続けている異能集団「宇宙研」の歴史を辿り、その独創性の秘密に迫る。

はやぶさーー!!!
すごくいい本でした。2006年11月出版なので、はやぶさが地球に帰ってくるところまでは書かれていません。ペンシルロケット糸川英夫から、宇宙研の歩みと共に成長してきた日本ロケット技術。そして、M-VロケットとはやぶさMUSES-C)。

非常に丁寧に専門用語とか、技術的なことを説明されているので文系の僕でもなんとなく分かりながら読むことが出来ました。文章も固すぎず、読みやすい感じでよかったです。とくに、著者の想いが一番書かれている「はじめに」と「おわりに」がなんだか感動してします。
ちょっと「はじめに」の終わりのところを抜粋。

はやぶさ」の燃料は未だ尽きてはいない。地球に帰還するに際し、最も重要なものはキセンノン・ガスの残量ではなく、皆さんの応援である。「はやぶさ」は人の情熱を推進剤とした、世界で初めての探査機なのである。


糸川英夫教授という人のすごさ。糸川教授の逆境を逆境とせず、チャンスとして挑戦していくところはすごいですね。糸川教授がいなければ今の日本のロケット技術は全く別のモノになっていたでしょう。日本独自のロケットを創るというすごさ!しかも、限られた資金・資源のなかで!

その糸川精神がこうして今のJAXAに受け継がれて、はやぶさイトカワまで行き、度重なる故障、不調に見舞われても、たくさんの工夫とアイディアで乗り越えて地球まで帰ってきたんですね。
宇宙研の技術者達の情熱が確かに伝わってきます。熱くて、男臭いくて、ロマン溢れる!「理工一体」として、多くの技術者の連携のもとではやぶさを飛ばすことが出来た。

今でも、はやぶさのカプセルに入っていた微粒子を研究しているところです。最初は確認出来なかったみたいですけど、研究を進めるうちにどんどん発見されてきています。
すでに「はやぶさ2」の打ち上げ計画も立っているようです。
準天頂衛星初号機「みちびき」も打ち上げ成功したみたいですし、日本の科学技術はやぱっりすごいですね!

的川泰宣教授、川口淳一郎教授、JAXAの方々、そしてはやぶさにお疲れ様とありがとう!

他のはやぶさ関連の書籍も読みたくなった!
あと、ブックデザインが鈴木成一デザイン室でした。ぐぬぬ…。表紙のタイトルが左に、著者名が右に来てるだけなのに他の普通の新書の表紙よりよく感じる。

はやぶさ―不死身の探査機と宇宙研の物語 (幻冬舎新書)

はやぶさ―不死身の探査機と宇宙研の物語 (幻冬舎新書)