天地明察/冲方丁

内容紹介

江戸、四代将軍家綱の御代。ある「プロジェクト」が立ちあがった。即ち、日本独自の太陰暦を作り上げること--日本文化を変えた大いなる計画を、個の成長物語としてみずみずしくも重厚に描く傑作時代小説!!

まさに傑作でした。いやあ、いい本を読んだ後の読後感は実にいいですね。
碁打ちの安井算哲、別名渋川春海が暦改変の為にまさに生涯を賭して勝負したその生き様を描いた小説。
挫折、挫折、挫折……それでも諦めずに何度も天を求めた春海。
改暦事業に関わってきた人々の想いを胸に決して投げ出すことなく挑む姿はとても感動します。いろいろと勇気を与えられます。

算額絵馬の関孝和や北極出地での伊藤・建部、保科正之や酒井などのたくさんの出会いと想い詰まってます。

それぞれのキャラもいいですし、文章も古臭くなく読みやすいです。なによりも途方もない事業へと挑む話が面白くて飽きることなく読めます。
どこまでが史実に基づいてるのかは分かりませんが、江戸時代に渋川春海という人が天と地を見つめ、見事に日本独自の暦を作り上げたことは本当みたいですね。
ウィキペディアをみると、関孝和とか本因坊道策なんかもものすごい偉人で面白いですね。
それと、本屋大賞直木賞候補作ノミネートおめでとうございます!

  雁鳴きて 菊の花咲く 秋はあれど 春の海べに すみよしの浜

雁が鳴き、菊の花が咲き誇る優雅な秋はあれども、自分だけの春の海辺に、“住み吉”たる浜が欲しい。それは単に居場所というだけではない。己にしかなせない行いがあって初めて成り立つ、人生の浜辺である。

「退屈ではない勝負が望みか」

僕にとっての“春の海辺”はなんなのか。人生を賭しても成したいこと。22歳で北極出地に行った春海。今22歳の僕も旅に出ようか。

天地明察」著:冲方丁 いい小説でした。

天地明察

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